パソコンを使って行われる定型業務は、RPAを使うことで自動化することが可能です。自動化の仕組みを作れば業務スピードが圧倒的に上がるため、RPAは大きな注目を集めていますが、「難しそう」「調べてもよく分からない」という理由で導入の検討が進まないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
「専門的な説明」や「活用のイメージがわかない」といった理由でRPAの理解が難しいと感じる方も多いと思います。
そこで本記事では、RPAが業務を自動化する仕組みをできるだけやさしく解説します。RPAについての理解やRPAの活用を考える上で参考になれば幸いです。
目次
RPAとは? まずは一般的な説明から
RPAについて一般的な説明をすると次のようになります。
RPA(Robotic Process Automation)とは、ルールエンジンなどを用いてホワイトカラーの定型的な業務をコンピュータ内のロボットに実行させ、自動化する取り組みです。この取り組みを実現するためのツールをRPAツールといいます。
「ロボットとは?」「ロボットは何を基準に業務を実行するの?」などの疑問が出てこないでしょうか。
RPAについて理解するにはロボットについてや、ロボットに業務を実行させる仕組みを理解することが不可欠です。
ロボットとは?
RPAで使うロボットは実体のあるものではありません、パソコン上で動くプログラムです。
RPAツールはパソコンを自動的に動かすことができるロボットを作成し、制御することで業務の自動化を実現しています。
RPAツールはどうやってロボットを作成する?
自動化したい業務手順をRPAツールに登録することで、RPAツールは登録された手順をもとにロボットを作成します。例えば、次のような業務手順を登録するとします。
注文書入力業務
- 注文データの入ったエクセルファイルを開く。
- ブラウザを開いて、注文入力ページにアクセスする。
- エクセルのデータをもとに注文情報を入力する。
RPAツールは、パソコンを自動的に操作して登録した手順を実行するロボットを作成します。簡単に3つの手順を書きましたが、ロボットは定められた手順を実行するだけなので、実際はもっと細かく手順を登録しなければなりません(どの注文データをどこに入力するかなど)。
RPAツールはロボットを作成、制御するツール
RPAツールは手順の登録を受け付けることでロボットを作成し、それを何度でも実行できるように制御、管理します。手順の登録には手間がかかりますが、一度ロボットを作成すればRPAツールを使って何度でも自動実行できます。
しかし、基本的には定められた業務手順以外のことをロボットは実行できないので、あくまで”定型”業務の自動化に向いているという点には注意が必要です。
RPAツールの仕組みまとめ
- RPAツールに業務手順を細かに登録する
- RPAツールは手順をもとに業務を自動化するロボットを作成する
- 作業者はロボットを実行するだけで業務の自動実行が可能になる
業務手順をRPAツールに登録するには?
ロボットを作成するにはRPAツールに業務手順を細かく登録する必要があります。
RPAツールにもさまざまなものがあり、各ツールが業務手順を簡単に登録できるよう工夫しています。その中でも一般的な手順の登録方法を2つご紹介します。
チャート機能
RPAツールには「ブラウザを開く」「文字を入力する」などの手順があらかじめ登録されていることが多く、それらを組み合わせて業務手順を登録します。
登録した手順をチャート形式で閲覧できるツールもあり、各手順をドラックして順番を入れ替えるなど直感的な操作が可能となっています。
レコーディング機能
RPAツールの多くはレコーディング機能を備えています。レコーディング機能は、レコードの開始から終了までに行われたパソコン操作を記録し、RPAツールに自動で登録されるので、作業を一つ一つ登録する必要がなくなります。
エクセルのマクロの記録が、パソコン操作全体を記録できるようになったというイメージが近いと思います。
RPAを導入するメリット
RPAを自社で活用するイメージはできましたでしょうか?
RPAはパソコンで行われる作業をそのまま自動化することができるので、パソコンを使った定型業務であれば業種を問わず活用することができます。
RPAツールを使って定型業務を自動化できるとさまざまなメリットが得られます。代表的なメリットを5つご紹介します。
RPA導入のメリット
- 業務スピードが上がり残業代が削減
- 従業員に時間の余裕が生まれ、サービスの強化や売上の強化に注力できる
- 定型業務の代わりさまざまな業務を担当できるようになり、従業員満足度が向上
- 業務スピードが向上することで顧客や取引先への対応も早くなり、顧客満足度、取引先満足度が向上
- ロボットが実行することで、繰り返し作業で発生していたミスがなくなり品質が向上
RPAの導入にかかる費用
ツールの導入にかかる費用を考える上ではおおよその費用についても知っておく必要があります。
RPA導入にかかる費用はツールのライセンス料金に注目しがちですが、大きく分けて3種類の費用が発生するので気をつける必要があります。
RPAツールのライセンス費用
さまざまなベンダー企業がRPAツールを販売していますが、料金の幅は無料で利用できるものから年間数千万円かかるものまであります。
RPAツールは大きく二種類に分けることができ、どちらを選択するかでライセンス費用が大きく変わります。
デスクトップ型RPA
本記事でご紹介した、各パソコンにツールを導入して、作業者が手順を登録しロボットを作成するタイプです。
[ 費用の目安:無料〜100万円(1ライセンスあたりの年間費用)]
サーバー型RPA
RPAツールをサーバーに導入して利用できるタイプです。サーバー内でいくつものロボットを作成でき、一元管理、制御できる機能を備えています。
一つのパソコンで作業が完結せず、全社的に業務の効率化を行うなど、大規模な利用を前提としたシステムといえます。
[ 費用の目安:数百万〜数千万以上(年間費用)]
社内教育費用・外注費用
業務を自動化するにはRPAツールを使って業務手順を定義する必要があります。ツールによって手順の登録の仕方は工夫されていますが、本格的に利用するにはツールの扱い方やプログラマのような思考を身につける必要があります。
ロボット作成を自社で行わずに他社へ外注することも可能ですが、その場合は外注費用が発生します。
・業務自動化担当者への教育費用
・ロボット作成にかかる時間的費用
・ロボット作成の外注費用(他社に外注した場合)
メンテナンス費用
ロボットを作成したらその業務を永久的に自動化できるわけではありません。業務内容や環境(例えば、「パソコンを新しくした」「エクセルからGoogleのスプレッドシートの利用に変更した」など)の変化によってロボットが正常に動作しなくなり、メンテナンスが必要になります。
さらにロボットが動作しなくなった時でも業務が止まらないように、自動化した手順をドキュメント化し、いつでも人手で実行できるようにしておかなければなりません。
・ロボットのメンテナンス費用
・自動化した業務手順のドキュメントを管理する時間的費用
RPAを導入し利用するには継続的にさまざまな費用が発生します。RPAは多くのメリットを生みますが、自社で活用した際の費用対効果を考えて導入を検討する必要があります。
まとめ
RPAとは定型業務自動化の取り組みです。RPAツールに業務手順を登録してロボットを作成し、パソコンを自動操作することで実現します。業務手順の登録方法は各RPAツールが簡単に行えるように工夫されています。導入をお考えの際は各ツールの機能など比較してみてください。
RPAの導入によって業務のスピードや品質が向上し、さまざまなメリットを得ることができます。バルモアではRPAをはじめとした業務自動化支援サービスを行なっております。業務自動化についてご興味のある方はお気軽にお問い合わせください。